天才志村動物園 一匹の野良犬、猫の恩返し

天才志村動物園特別編　～　涙と奇跡のどうぶつ物語８

一匹の野良犬　絆物語

犬を飼うことを夢見た一人の少年
中でもあこがれていたのがチャウチャウ
家でもみんなが大好き。　家族で近所に飼われているチャウチャウを見に行くほどに。
でもチャウチャウは、少年が暮らしていた田舎では、珍しい上に手に入れるのも難しい犬。

そんなある日、学校から帰る途中、一匹の野良犬に出会った少年。
ふさふさの毛、　コロコロした体つき、潰れた顔

「チャウチャウだ！　チャウチャウの野良犬だ！」

と少年は大興奮
家に帰ろうとしたが、その犬は少年のあとをついてくる。

そして家までついてきてしまった・・・

だが当時少年は社宅に住んでいて、社宅ではペットを飼えない決まり。

お母さんに言われ、結局その野良犬を元居た場所に返すしかありませんでした。

しかし・・やっぱりついてきます。

「だめだよぅ・・あっちへ行って」　と　お願いするがやっぱり少年のそばを
離れようとはしません。　しかたなく、すきを見て、犬を置き去りに逃げ出した少年。

悲しそうに泣く犬を見て、少年は大号泣。　少年は泣き虫でした。


でも犬が忘れられない少年は、勇気を出してお父さんに話してみることに。
でもいつもお父さんに叱られている少年は、何も言う前から泣き出しました。


お父さんにうながされ、泣きながら

「犬を飼わせてください」　と　お願いしてみました。

お父さんにもこの社宅では犬が飼えないと言われました。
でも、あきらめられず、何度も何度もお願いしました。

するとお父さんは、「野良犬だろう？　もうどっか行っちゃったよ」と言います。


「いるもん！」　と泣きながら訴える少年。

「じゃ、見に行くか？」　と　お父さん

どうせもういるわけない、いないとわかればあきらめるだろうと思ったお父さんでした。

犬を置き去りにした場所に行ってみるといません。

「だろう？　もういないんだよ」　とお父さん

「あれ？　どこ行ったんだろう？」　と　必死な少年

すると犬が走って少年のところにやってきました。
抱きしめる少年

「確かにチャウチャウだな・・」　と　お父さん

「ね？　飼ってもいい？世話するから！」と　少年

「うちは社宅なんだよ、犬は・・・」　と　お父さん


家に帰ったお父さんはある決意を発表します。


「みんな、お父さんは、家を建てるぞ。」

「え？　チャウチャウの家は？」　と少年

「もちろん建てるぞ！」　と　お父さん。

犬を飼うために、家を建てると言い出したお父さん。
ほんとうに家を建ててしまったのです。

少年はその犬にチャコと名前をつけました。
そしてそれ以来、遊ぶ時はいつもいっしょ。
楽しい時だけではありません。
泣き虫の少年が、サッカーの試合でミスして泣いていると
チャコが寄って来て、顔をなめてくれました。

そんなチャコに励まされるように、少年はたくましく成長。

しかしその一方でチャコは体力が衰えてきました。
犬の寿命は人間よりずっと短いからです。
悲しい現実ですが、しかたがありません。


やがて、チャコは歩くこともできなく寝たきりに。

しかし、少年は
「また一緒に散歩行こう。歩くのが辛かったらおぶってやるからさ」


チャコは食事もとれなくなりました。
水も自力では飲めなくなり・・

チャコの寿命は残りわずか・・少年にはわかっていました。

チャコが突然、苦しそうなうめき声をあげました。
すぐに病院へ。

医師からは手のほどこしようがないと言われました。
チャコは老衰で肺炎か多臓器不全を併発。
きっと想像を絶する痛みがチャコを襲っていました。

医師からは

「この子の体は弱り切っていて、麻酔を使うには危険すぎます。
あとはもう・・楽にしてあげることしか・・」

安楽死を勧められたのです。

これ以上チャコを苦しめたくないというお父さん。
だけど納得できない少年。

お父さんは、少年に判断をゆだねました。

ずっとそばに居るよと約束した少年・・
生きていて欲しい・・
でも、チャコは苦しそうな唸り声をあげます。

少年は
「先生、チャコを楽にしてやってください」　と告げます。

家族は外に出るようにと言われたのですが
少年はチャコの手を握り、最後までそばにいました。
天国へ行ってしまったチャコに寄り添い、泣き続けた少年。

それ以来、少年は犬を飼うことはありませんでした。
ほんとうはチャコのおかげで、動物が大好きになったのに・・


それから２０年。

「もうそろそろいいかな・・・」とチャコの写真に話しかけ

あらたに家にやってきたのが　ウンチャン

飼い主はタカトシの　タカさんでした。

タカさんの新しい相棒、ウンチャンには不思議なことが一つありました。

「よし　こっちこい　チャコ」　と　うっかり名前を間違えるタカさん

でもウンチャンはやってきます。

一度だけではなく何度も。

タカさんは、違う名前で呼んでみました。　するとウンチャンは動きません。
チャコ　と呼んだときだけ、来てくれるのです。

もしかしたら、チャコの・・・


猫の恩返し

２０１２年　宮崎県で　貸本屋を助けた猫と新聞に載りました。2012/03/23　朝日新聞

宮崎県宮崎市昭和町

のどかな街の貸本屋さん　輝らら

その店の一番のお得意さんは、近所の小学生だったので設けは殆ど出ず
なんとか営業を続けている状態の貸本屋さんでした。


でも店主の　吉谷千鶴子さんは　子供たちが喜んでくれるなら・・と思っていましたが・・

ある雨の夜
店の前に小さい頃から通ってくれたある中学生の女の子が雨に濡れて立っていました。

驚いて中にいれると、女の子はかばんから猫を出し、
雨の中、道端で動けなくなっていたねこを拾ったのですが
家でペットが飼えないために、捨てに行くように言われ
どうしようもなく立ち尽くしていたのです。

助けて下さい　という女の子の頼みに

「元気になるまで　預かるから」　と約束した千鶴子さん


「このお礼は必ずしますから」　と言って女の子はかえっていきました。

でも千鶴子さんの貸本屋は猫を飼えるような経済状態ではなく
おかずは自分のおかずを減らして与えました。

翌朝、千鶴子さんが目を離すと、猫は居なくなりました。

少しほっとした千鶴子さん

ところが数日後、猫は子猫を連れてやってきました。

「もううちではご飯をあげられないのよ・・」　という千鶴子さん

でももう一匹猫がやってきて、３匹の猫

結局千鶴子さんは自分の食事をけずって猫に与えることに・・

≪ほんとうに・・あなたたちを食べさせる余裕はないのよ・・≫

と　想いながら食事を与えていた千鶴子さん

ところが、翌日

三匹揃って姿が見えません。

千鶴子さんが表に行くと　「かわいい」　と声がします。

三匹は通りすがりの女性にすっかり甘えていました。

「この子たち、お店で飼ってるんですか？」　と聞かれ
返事に困った千鶴子さん

でも千鶴子さんの顔をみて　ニャーと泣く猫たちをみて

「ああ、やっぱりここで飼ってるんですね」　と女性達

「また猫ちゃんに会いに来てもいいですか？」　と言われ

「もちろん・・」　ととまどいながら返事をした千鶴子さん

この日を境に、

猫を目当てに入ってくるお客さんが増えてきました。

今まで小学生ばかりだった店に、いろんな客層のお客様が
入ってくるようになったのです。


さらにネコ用の服を作ってくださったかたがあり、


「でも・・猫に服なんて・・」と千鶴子さんがとまどっていると

自分から洋服に飛び込んで、まるで　着たいと言っているようです。

猫は犬と違い、服を嫌がる子が多いのですが・・・

不思議なことにどんな服をもらっても　楽しそうに・・

するとさらに三匹に会いに来るお客さんが増えたのです。


猫を預けて行った女の子がやってきて、
「何もお返ししていない・・・」　と　言いましたが

千鶴子さんは
「いいのよ、あなたの代わりに、猫が恩返してくれてるみたい・・」


そして　新聞記者がやってきて、猫の恩返しの記事を取り上げると
猫の居る、貸本屋さんはまたたくまに地元の人気店に。

まるで三匹の猫の恩返しのような奇蹟


今日も貸本屋さんの店先には、三匹の猫が待ち続けています。



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